古代ローマ時代の政治家で詩人で哲学者であるルキウス・アンナエウス・セネカという人の言葉に、
「人は教えることによって最もよく学ぶ」
ものがあります。
要は、人に教えることが一番の学びであるということです。
古代ローマの時代から、このようなことが考えられていたのですから、いつの時代もどこの国でも人というのはいかに学びについて考えていたのかということが分かりますね。
このお話はスポーツだけでなく勉強、仕事とありとあらゆるものを上達させる方法を書いていますが、
運動やスポーツには運動性記憶という言葉があるくらいで、勉強や仕事に比べると、運動を覚えることの方が簡単だという考え方もあります。
これは、声を出しながら動く、手で書いて覚える、というものです。
良い例が、自転車です。
「何年振りかに自転車に乗ったら乗り方を忘れていた」
ということはありませんよね。
運動を伴う記憶は、一度覚えると忘れることがないという説です。
BMC会員の皆様には、
『運動やスポーツを覚えることは、勉強や仕事を覚えることより簡単である』
ということをよく覚えておいていただきたいです。
とはいえ、何度聞いても、何回練習しても、何度教えてもらっても覚えられない人が多いのが今の時代です。
インプットとは、脳の中に様々な情報を入力することです。
アウトプットは、脳の中に取り込んだ情報を処理して外へ出力することです。
この”処理して”という部分が重要です。
子どもの勉強で言うと、インプットは教科書を読んだり先生の話を聞くことです。
(インプットが出来ない人はまた別の方法が必要となります)
アウトプットは問題を解いたりテストを受けたり、感想文や考察した結果を文章を書いたり発表したりすることに当たります。
私は、ジュニアメンバーにも大人会員さんにもよく
「教えてあげて」
「教えて差し上げてください」
と言います。
これは、人は人に教えることによって記憶を定着させるからです。
要は、人に教えることが上達の近道になります。
人に教える際に、上手く説明が出来ないというのことは、まだ理解していないということになります。
『人に説明することが出来ない=インプットが足りない』
『人に説明することが出来ない=インプット出来ていない』
ということになります。
私がジュニアメンバーに、
「構えの説明をしなさい」
「構えの説明をノートに書きなさい」
「新しく入った仲間や年下に教えてあげて」
と言うのは、ここから来ています。
先日、ある中学校の教頭先生にお話を聞かせていただいたのですが、
今の小学生、中学生のほとんどが話を聞くことが出来ないので、何でもグループにして、そのグループの中に話を聞く生徒が聞いていない生徒に説明をしてもらう手法を取るそうです。
でも、その手法には、リスクもあるとのことで、話を聞く生徒は「自分が良く聞いて皆に説明しないといけない」と責任感が生まれ更に能力が上がり、話を聞くことが出来ない生徒は、「聞いてなくても誰かが教えてくれるだろう」という甘えが強くなり、益々話を聞くことが出来なくなっていってしまい、二者の差が益々開いていってしまう危険性があるとのことでした。
そのために、グループはメンバーを変えたり、リーダーシップのある生徒を敢えて抜けてもらったり(そうすると不思議と次にリーダーシップを取る生徒が生まれる)するそうです。
会社の移動なども同じですよね。
途中に出てきた”処理して”という部分が重要なのは、聞いたこと、学んだことをそのまま覚えることはもちろん、自分なりの覚え方や解釈、工夫も加えて、確固としたものにするということです。
聞いたこと、学んだことを勝手に自分の解釈をするのとは、全く異なります。
何事も上達させるのに大切なことは、インプットしたことを、アウトプットすることです。
何か勉強、練習した後は、何を学んだのかを質問すれば、インプット出来ているかどうかは、その答えで分かります。
「今日はどんなことを習ったのか教えて」
「今日、勉強(練習)したこと教えて」
「今日の勉強(練習)した感想を聞かせて」
とアウトプットすることが非常に重要となります。
聞いてもらえる人がいないのであれば、自分から話すようにしてください。
話す相手がいない、聞いてもらえないのであれば、ノートに書いてください。
何事も持っているだけで使わなければ、錆びついていきますし、腐敗していきます。
学んだことは、どんどん人に教えるという形で使っていくことが、上達の秘訣です。
次回に続きます。