2022-03-08 3:32 PM
category|今日の健康情報
ワーキングメモリーについて考える1
私は子どもへの運動指導歴は今年で30年目に入りました。
年々、子ども達の運動能力はもちろん、思考力、語彙力、コミュニケーション能力が低下していくことを指導の現場で痛感しています。
私の個人的な意見ですが、これは子ども達の“ワーキングメモリ”が著しく低下していることが原因だと思っています。
私はワーキングメモリの専門家ではありませんが、発達障害・グレーゾーンの子ども達を対象にした託児室のある運動指導教室を経営していた時に、ワーキングメモリについてについて勉強していた時期があります。
私の知っている範囲内でワーキングメモリーのことについてブログに書いていきたいと思います。
ジュアニクラスに参加するお子様のいらっしゃる保護者の皆様はもちろん、大人会員の皆様にもお読みいただけると幸いです。
ジュニアクラスの生徒達と話していると話が続かない、話が出来ないことが年々増えています。
お子様に以下のことが当てはまるのであれば、是非ワーキングメモリについて知っていただきたいと思います。
1、話をしていて、途中で何の話をしていたか分からなくなる
2、考えているうちに、何話をしていたか分からなくなる
3、自分の話すことが元々話していた内容と話題が変わっていることに気がついていない
4、意見を求められても、言いたいことをうまくまとめられない
5、質問されても考えているうちに、質問を忘れたり、何を言いたかったかを忘れる。
6、聞いた情報が部分的に抜け落ち、時系列がおかしくなり誤解が起きる
7、相手への伝え方が順序立っていないため理解してもらえない
8、何分でも沈黙に耐えることが出来る
など、これらは、ワーキングメモリの低下が原因になって会話が難しくなっていることも考えることが出来ます。
ワーキングメモリとは、見たり聞いたりした情報を一時的に覚えておきながら、その情報について理解したり、整理したり、判断したりする力です。
大きく分けるとするならば、
“見て理解する力”
と
“聞いて理解する力”
と
“表現する力(説明する力、言葉を選ぶ力や語彙力)”
の3つに分けることが出来るかと思います。
会話が困難であるとコミュニケーションを上手く取ることが出来ず、年齢が上がれば上がる程、人との関りに苦手意識が強くなります。
習い事だけでなく、学校での友達との会話も楽しくなくなり、不登校などに繋がる場合もあります。
そもそも、一人で過ごすのが好きなお子様もいますが、会話が苦手だと大事な時に損をすることがあります。
また、会話が苦手なお子様でも、本当はもっと話をしたいと考えている子もいます。
会話は、人間関係を円滑にしてくれる大切なものです。
先述の8つの項目に当てはまるからと言って、必ずしも障害やグレーゾーンであると決める必要はありません。
健康な大人でも、
「何かを取りに来たけれど、それが何であったか忘れてしまった」
「話そうとしていたことが、誰かに話しかけられたことによって、何を言うのか忘れてしまった」
「片づけをしていて、無くなったものが見つかり、片づけ以外のことを始めてしまった」
「お目当ての商品を買いに行ったのに、別のものだけを買って帰り、家についてから、本当に買おうとしてたものを思い出す」
「顔は思い出すけど、名前を全く思い出すことが出来ない」
という経験は誰にでもあると思います。
これもれっきとした、ワーキングメモリの低下です。
一説には、ワーキングメモリには限界があり、人は一度に出来る情報処理の量は3つとも言われてます。
要はいくつもの話を聞かされると、初めの話を忘れたり、中にはパニックを起こしてしまう人もいます。
また、ワーキングメモリのピークは20~30代でその後はどんどん低下していくと言われています。
私も最近はめっきり「あれ」「あの~あれやん」と名前が出てこないことが増えました。
偉そうに人のことをどうこう言えません。
ワーキングメモリは、いくつになってもトレーニングで鍛えることが出来ると専門家の方も言っています。
実はジュニアメンバーに指導している、言われたことをノートに取るということもワーキングメモリの低下を防ぐトレーニングになります。
(それを家で開いて見なければ何の意味もありませんが)
本日は長くなりましたので、第二回目に私が知っている範囲内でワーキングメモリを増やすトレーニングをお書きしたいと思います。
簡単なものだけお伝えすると、しりとりや連想ゲーム的な遊びもその一つです。
例えば、「カレーライス」と聞いた時に何が入っているかを説明するということもトレーニングになります。
「そんな簡単なことで…」
と思われるかもしれませんが、カレーライスをカレーライスとしか思っていなくて、中に何が入っているかを答えることが出来ないお子様もいます。
「トンカツが好き」という子どもに、「魚はどうやって食べるのが好き?」と質問したところ「トンカツ」という返答が返ってきたことがあります。
その子が好きな魚の食べ方はフライでした。
揚げたものは全てトンカツと思っていました。
要は、ワーキングメモリを増やすには、深い会話が最も重要です。
「はい」「いいえ」「うん」「そう」だけで答えることが出来る質問しか投げかけていないとワーキングメモリが増えることはありません。
次回に続きます。
吉沢陸